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駄文置場という名の虚無空間です

 

よし、虚無ろう

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『人類の味方』 

※本文はとある二次創作小説の一部として書いたものですが、ボツにしたために日の目を見る事が無さそうなので、とりあえずここに載っけておこうという廃棄処理的駄文です。てか、本来こういう使い方するブログだったんだよ。そうだよ。どうなってんだ誰か説明してくれよォ!(デデデンッ)
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 人影が消え去った風都の街中を、いつもより一際冷たい風が吹き抜ける。街のあちこちに建つ風車の羽根が撫でられて、カラカラと風の中を廻る。いつもなら人の喧騒に飲み込まれてしまうその音も、今はハッキリと聴こえていた。

 少年は走っていた。息を切らし、肩を上下させながら、首からぶら下げたカメラだけは落とさないようにしっかりと握り締めて、一心不乱に走っていた。
 向かう場所は自分でも分からなかったが、それでもただ、ひたすらに街中を駆ける。向かってくる風を掻き分けて、昨日も友達と遊んだ公園を通り抜け、狭い路地の壁に体を擦らせながらも躊躇せずに走り続けた。

 耳には風の音。カラカラと廻る風車の音。それ以外には何も聴こえない……聴こえないでいて欲しいと願わずにはいられない。

 だが、少年の願いは遠くから響いた異形の叫び声で打ち砕かれた。鳥のような、獣のような、不気味な甲高い声。
 警告だろうか、威嚇だろうか、意味は理解出来ないが、幼い少年の全身はその声が耳朶を打つたび本能的に怯えていた。


 "怪物が来る"


 自分の脳内を駆け巡る強迫観念にも似たその言葉に動悸が早くなる。逃げなきゃ。逃げなきゃ。でないと……殺される!

 街には怪物が溢れていた。人間が怪物に変わる姿を少年は目撃した。小さなメモリを体に突き立てるだけで人は異形の姿に変貌する。恐ろしくなって逃げ出した。何処へ逃げればいい?家?学校?警察?

 ダメだ。誰もいない。お母さんも、先生も、おまわりさんも、みんないない。消えている。
 怖くて、不安で、寂しくて、少年は泣きそうになった。大声を出して喚きたかった。でも、カメラをぎゅっと握って涙を飲み込んだ。今は逃げなきゃ。捕まってはダメだ。


 少年は小さな体を活かしてビルとビルの隙間、細い迷路のような路地を縫うようにして走り抜けた。室外機を飛び越えて、ポリバケツにぶつかってよろけながら無我夢中で走り続けた迷路の終着点は、うず高く積み上げられた廃棄自転車の壁だった。
 背の高いビルとビルの間、じめじめとした湿気と、カビ臭い匂いを吐く室外機に囲まれた狭い通路の奥に聳えたガラクタの壁の高さは自分の背丈の五倍ほどはある。少年にとっては、ビルの壁となんら変わりはなかった。

「はあ……っ」

 肺の奥からすべての空気を吐き出すような深い息を吐いて、少年は廃自転車の壁にもたれかかるように座り込んだ。日陰になった路地は薄暗く、コンクリートの地面はひんやりとしていたが、今は気にならない。

 震える手で胸元のカメラを見る。
 誕生日にお父さんに買ってもらった子供用のデジタルカメラ。お父さんの好きだったフィルムを使う昔の立派なカメラには及ばないけど、これだってキレイに写真が撮れた。撮って、しまった。

 人が怪物に変わるその瞬間を……レンズに収めてしまった。

 怪物は気付いて追って来た。必死に逃げて逃げて、どれぐらい走ったかも分からない。普段は遊びに来ないところまで来てしまった。迷子になったのかもしれなかったが、今はそれどころじゃない。あの怪物は、今も自分を探しているはずなんだ。

 怪物の姿を思い出して体を強張らせた。鳥のような羽根に獰猛にギョロついた眼、鋭い爪を持って二本足で立っていた。その恐ろしい姿は、物語で見た"怪人"のようだった。

 首を引っ込めて縮こまるように自転車の山に身を寄せて、全部夢ならいいのに、と心から願う。
 今、自分は布団の中で、朝になったらおかあさんが起こしてくれる、この悪夢から助け出してくれる……この悪夢を、誰かが終わらせてくれることを、強く願った。

「浮かない顔してるな、ボウズ」

 その声は唐突に、真上から聞こえてきた。少年はビクンッと身を震わせると、跳ねるような動きで自転車の山から飛び退いた。
 振り返ると、自転車の山の上に座り込む人影があった。それは人間の形をしている。紺色のスーツにハンチング帽を被った男……その人物の手には、小さく、長細いカメラが握られていた。

「人、間……!?」

 思わず少年の口を衝いて出てきた言葉に、男は一瞬困ったような笑いを浮かべ、

「そう見えるならそうだ」

 と、曖昧な返答を寄越した。
 少年はその答えを怪訝に思った。目の前の男はどこから見ても人間に見えた。けど、先ほど自分は人のように二本足で立つ"怪人"を見た。あれは、さっきまで人間だと思っていた人が変貌した姿ではなかったか。

 カメラを握る手に力が篭る。じりじりと後ずさって走り出すタイミングを見計らう。逃げられるだろうか……いや、逃げて助けを呼ばなきゃいけない。この写真を誰かに見せて、この街を救ってもらわなきゃいけない。
 でないと、もう友達にも、お母さんにも……お父さんにだって、会えないのだから。

「お、良いカメラ持ってるじゃないか」

 そんな少年の悲痛な心情とは対照的に、男は人懐っこい笑みを浮かべて話しかけてきた。

「俺も持ってるんだぜ、カメラ」

 男が見せた長細いカメラはえらく古い形のものだったが、お父さんが昔見せてくれたカメラコレクションの中に似たものがあった事を思い出した。
 男のカメラは使い込まれていたが、丁寧な手入れが成されているようで、衰える事のない鈍い銀の輝きを放っていた。

「こいつとはもう40年以上の付き合いだが、今でもバッチリ写してくれるよ」

 40年来の相棒を大切そうに扱うその男は、とてもそんな歳には見えなかった。まだまだお兄さんにしか見えない風貌で、奇妙な齟齬を感じる。だが――いや、だからなのか。その言葉には、気付けば耳を傾けていた。

  お父さんも言っていた。どんなに古くても、自分が生まれる前のものでも、自分にとって大切だと思うなら大切にしなさい、と。そこに人なりが表れるんだ、と。

「"ペンは拳(けん)よりも強し"って言葉知ってるか」

 いや、剣だったかな?と男はコロコロと変わる表情で笑いながら言った。この時にはもう不思議と逃げる気が失せ始めていた。少年は首を横に振って答えた。

「ペンはな、拳を振うよりも強い時があるんだ。人間の社会に巣食う悪を裁く時、拳よりも鋭く相手に食い込む、それがペンだ」

 カメラを掲げて「これもペン。腕力じゃない力だ」と男は言った。

「1枚の写真が矛となり、盾となって、悪を倒す。写真ってのにはそういう力もあるんだぜ」

 男の言う事は少し抽象的だったが、分かる気がした。お父さんは新聞記者だったから。許せない悪い奴を追ってるんだと言っていたっけ。

 でも、お父さんは、数年前にとある"財団"を調査中に行方不明になってしまった。それからお母さんと二人で生きてきた。お父さんの帰りを待ちながら。

「そうだ……お母さんを助けないと……!」

 そうなのだ。こんなことをしてる場合じゃない。この写真を誰かに見せないと。この写真を信じて貰えたなら、この写真が力になる。お母さん達を救う力になる!

 そう思い至った。自分の持っている"ペン"でみんなを助けられるなら、これを早く誰かに――誰かに…………誰に見せればいいのだろう。

 少し気が落ち着いたのと同時に、酷く現実的な考えが少年を苛んだ。

 街から人は消えて、警察もいない。何処に向かえば、みんなを助けられるのか。誰に見せれば、信じて貰えるのか。

 きっと信じてくれない。人間が恐ろしい姿になった写真なんて、疑われて、バカにされるに決まっている。

 この"ペン"は、役に立たない――――。

「そうだ」

 ぽんっと少年の肩に手が添えられた。男はいつの間にか自転車の山から降りてきて、少年の傍らに立っていた。

「"ペン"は強い。だが、それだけでは倒せない悪がある」

「倒せない、悪……」

 お父さんも、そういう悪と戦っていたのかもしれない。

「強大な腕力は時にペンをへし折る。理不尽な暴力が社会の闇を包み隠すんだ」

 男の横顔を見上げると、険しい顔をしていた。

「俺も"ペン"を折られた。だが、代わりに手に入れた……手に入れちまった力がある」

 険しさの答えは、その言葉にあったのか、それとも直後に聴こえて来た鳥のような、獣のような、不気味な甲高い声によるものか。少年はビクリッと身を震わせて背後を見返ると、長細く伸びるビルの合間の通路に、先ほど写真に収めたあの異形の"怪人"が立っているのを見止めた。

「理不尽な暴力がある限り、人間は"ペン"だけでは戦えない。俺はそんなくそったれな世界は我慢がならねえ。"ペン"が人を守れる世界を取り戻す」

 男はスッと少年を背中に庇うように立った。長細い通路で、"人間"と"怪人"が対峙する。

 "ペン"が人を守れる世界……その世界では、自分もお父さんのように戦えるだろうか。

「ボウズ、見たいか?そんな世界を」

 男が問う。直後に"怪人"が、ビルの合間に反響する甲高い声をあげて走り出した。迫る異形を前に、男の背中は逞しく少年の前に聳え立つ。

 だから、答えた。

 お父さんのように戦える世界を。お母さんや友達を救える世界を。そんな世界が――

「見たい……見たいよ!!」

 男が、ニヤリと笑った。

「お見せしよう――」

 男の両手が右水平に振られた。そのまま弧を描くように回す。力強い半円を描いて、その手が"ペン"を守る"拳(けん)"を結んだ。

「変身」

 瞬間、眩い光が男の腰部から放たれて、ひと時ビルの合間の闇を取り払った。
 それは深い闇を照らし出す正義の光……男が望まざるままに手に入れた理不尽なまでの力。

 強い風が吹いた。嵐のような突風がビル間に巻き起こる。グッとカメラを握った。その嵐の瞬きの中に少年は見た。

 力強いその背中。

 緑の仮面。

 真紅のマフラー。

 真っ赤な手足。


 "お見せしよう"

 男が言ったその言葉は決して嘘じゃないと分かった。

 少年は安堵と共に叫ぶ。

 何故ならば――


「――仮面ライダー!」


――正義の味方は、いつだって。

 悪を蹴散らすために、嵐と共にやって来るのだから。



『人類の味方』了。

  
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