Admin * New entry * Up load * All archives 

駄文置場という名の虚無空間です

 

よし、虚無ろう

04«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»06
このページの記事一覧

    

Posted on --:--:-- «edit»

Category:スポンサー広告

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

tb: --     com: --

go page top

Posted on 23:51:40 «edit»

Category:紅の標

海賊戦隊ゴーカイジャー外伝『紅の標』 1章/Ⅳ 

1章/Ⅳ:オイズの街


 アカレッドが街に入ると、先ほどの砂漠とは打って変わった活気溢れる光景が飛び込んできた。
 石造りらしき家々の合間にテント張りの商店が立ち並び、往来を人波が流れている。先ほどのハテッサ達と同じような銀色の肌をした人々から、半獣半人のような者達もいれば、機械の体をした小さな子供まで多種多様な人々がそこにいる。

 彼らの姿形を除けば、地球で言うエジプト辺りの田舎街の風景に似た雰囲気だろうか。客を呼び込む声と人々の談笑がところどころで聞こえ、傍目には平和な街の姿そのものであった。
 そんな人波を避けるようにして歩くアカレッドではあったが、やはり目深に外套を被り、背にグッタリとした男を背負った格好は人々にも異様に映るらしく、背後からひそひそと訝しげな声色の話声と視線を感じて歩まねばならなかった。

「よお!そこの変なもん背負ってる兄さん!こっち見ていかねえか!」

 そんな雰囲気をまったく意に介さないような声がアカレッドを呼び止めた。商店の親父だった。小太り体型で丸みを帯びた銀色の顔をニヤリと歪ませた親父は自分の店先を指差して手招きをしている。

「私か」

「変なもん背負ってるのはあんたしかいねえだろ兄さん!」

 ガッハッハッハ!と下品な笑い声をあげた親父は商人らしいテンションの高さで一気にアカレッドの注目を惹きつけると、そのまま勢い任せに店先へと連れ込んだ。

「いいから見ていきなって!俺ぁクエンっていうここらじゃ有名な商人よ!うちは親切・信頼・安心で売ってるんだ、ここに揃えた品々も俺自身が出向いて見繕ってきたモンばっかりだぜ」

 クエンと名乗った男の店先には大小様々なものが陳列されていた。小さな花瓶のようなものから何かのエンジンらしきパーツまで、無差別、無軌道、無秩序に掻き集め、積み上げられたそれらは一言で言ってしまえばガラクタの山のようにしか見えない。これは何屋なのだろう。
 クエンはガラクタの山を崩して中から赤錆の浮いた長い棒を取り出してアカレッドに見せた。
 
「この剣なんてどうだい。物騒な世の中だ、護身用に一本持ってても損は無いぜ」

 思わず"剣だったのか"と言いたくなるほどに錆びたそれで何を護れと言うのか。野菜だって斬れそうもない。大体武器なら間に合っている。

「ならこのレーザーガンはどうだ。こいつならでっけえ岩のひとつやふたつ一発で粉微塵だ」

 小銃サイズのレーザーガン、エネルギーゲージはゼロを指している。この店にそのエネルギーパックが売ってる様子もなかった。これでは意味がない。

「分かった!武器が好みじゃないならこっちの非常食なんてどうだ!異星で仕入れたもんだがうまそうだぜ!」

 味の保障は無いらしい。取り出されたのは地球のカップラーメンに良く似た容器で、フタには"陽気なアコちゃん"と書かれている。

「……生憎だが、私は持ち合わせがないのでな」

 事実、この星でも使われている通貨『ザギン』を持ち合わせていないアカレッドにそれらを買う手段は無かったのだが、これを逃れるための方便と取ったクエンは逃がすまいと食い下がってきた。

「よし!じゃあとっておき!とっておきのを見せるよ兄さん!」

 高いテンションを維持したままのクエンは店の奥へと引っ込むと、大きな鉄の塊を引っ張り出してきた。バイクだ。随分と埃を被っているが、地球で使われているそれと良く似ていた。

「これだ!どうだい、すげえもんだろ!うちの店の自慢の一品でね、まだ誰にも売った事がないんだ!」

 それはただの不良在庫ではないのか。

「こいつはただのマシンじゃない!あの"宇宙暴走族ボーゾック"が悪ぶってた頃に花火にしちまった"ハザード星"で作られたモンだ。今じゃ貴重だぜえ?」

 クエンはどうだと口の端を吊り上げて不敵に笑ったが、今までの商品の事もある。まともな品とは思えない。

「ハザード星で作られたものならその動力源は"クルマジックパワー"か……動くのか?」

「え」

 え、ではない。そこに触れるつもりは無かった様子のクエンの顔でこれが売れ残っている理由も分かった。

「動かないのか」

「で……でもよ!こいつはすげえ骨董品だろ!?そこにあるだけで価値があるってえもんよ!コレクター魂を刺激するだろ!?」

「本物ならばな」

「うぐ……」

 苦い顔をしたクエンは押し黙ってしまった。これでは自身で出向いて見繕ったという話も怪しいものだ。

「ふむ……」

 何やら一考したアカレッドは、男を背負ったままの格好でバイクへと近づくと何かを取り出した。それは赤い"レンジャーキー"。激走戦隊カーレンジャーのレッドレーサーを模したキーだった。カシャッとそれを鍵状へと変形させると、バイクの鍵穴に差し込んでみた。

 途端、"レンジャーキー"から鈍い光が溢れ出した。光はキーからバイクへと液体のように移動してゆく。すると、先ほどまで物言わぬ鉄の塊であったバイクがエンジンの轟きとともに唸りを上げた。何年ぶりに息を吹き返したのだろうか、とても埃を被って放置されていたとは思えない軽快なエンジン音を鳴らすそれは、バイク自身の喜びの声のようにも思える。

「おおおおお!」

 歓声を上げたのはクエンだった。"まさか動くとは……!"などと呟いている。

「マシン自体は本物だったようだな」

 レッドレーサーのキーを引き抜いたアカレッドが言うと、クエンは目を丸くさせて「何やったんだあんた!?」と詰め寄ってきた。

「"クルマジックパワー"を流し込んだ」

「で、でもよ、それって確か"車型星座"とかいうのから貰える力なんだろ? あんたハザード星人の生き残りなのか!?」

「いや。だが、これにはそれが宿っている」

 アカレッドはクエンの眼前にレッドレーサーのキーを翳して見せた。

「もっとも、今の状態で出来るのはこの程度のクルマジックパワーを放出する事ぐらいだが」

「何なんだい、そのキーは……?」

「激走戦隊カーレンジャーの力が宿ったレンジャーキーだ」

「激走戦隊カ~~レンジャァ?」

 なんの事か分からないと言った様子のクエンをよそに、レッドレーサーのキーをしまったアカレッドは背におぶった男の体を背負い直しながら、クエンに「この男の事を知らないか」と尋ねた。

「え……あ、ああ。そいつ、この通りを行ったところにある酒場の店主だよ。でも、確かザンギャックに連行されたって――」

「そうか、ありがとう。助かった」

 クエンの言葉を遮る形で礼を言ったアカレッドは、そのまま踵を返して通りの向こうへと歩いて行った。取り残されたように佇んでいたクエンは、傍らでまだ唸りを上げ続けているハザード星製のバイクを見て呆然とするばかりだった。

スポンサーサイト

go page top

 コメント 

go page top

 コメントの投稿 
Secret

go page top

 トラックバック 
トラックバックURL
→http://ykitama.blog.fc2.com/tb.php/16-9a48cd5f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。