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駄文置場という名の虚無空間です

 

よし、虚無ろう

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Posted on 23:54:04 «edit»

Category:紅の標

海賊戦隊ゴーカイジャー外伝『紅の標』 1章/Ⅴ 

1章/Ⅴ:オイズの街


「やはりあのキーはお宝だぜ」

 遠巻きにアカレッドとクエンのやりとりの一部始終を見ていたロブは、俺の眼に狂いは無かったと不敵な笑みを浮かべていた。その背に隠れるようにしてハテッサも同じく様子を伺っている。

「で、でもよお、関わらないしようって言ったじゃん……!」
 
 背後で弱気な声をあげるハテッサだったが、今のロブは聞く耳を持っていなかった。

「いいかハテッサ、俺たちの仕事はなんだ」

「え……えっと、拾ってきたガラクタを売り捌いてその日その日をなんとか食い繋ぐ仕事?」

「若干納得いかねえ言い回しだがその通りだ」

 この星の頭上にある"二重恒星太陽"……その片方は異空間と繋がったホワイトホールだ。そのホワイトホールから吐き出された物が度々惑星エイトの地表へと降って来る。それを拾って来ては売り捌くのが二人が生業とすることだった。

「今日はガラクタの代わりにとんでもねえヤツを拾っちまったと思っていたが、こりゃとんだ拾いものだったのかもしれねえ。あの"レンジャーキー"とやら、使い方次第じゃすげえ金の成る木になるぜ」

 言って笑うロブの顔はお宝への好奇心と欲で満ち溢れており、あの男と関わらない方が良いという発想は何処かへ失せてしまっている様子だった。

「けどなあ……」

「なんだよ、煮え切らねえな。お前が嫌だつっても俺はアイツを追うぜ。ここでコンビ解散だ」

「わ、分かった、分かったよ!俺も行くって!」

 ロブの勢いに逆らえず、ハテッサは流されるままにアカレッドを追う事になってしまった。

「クエンの親父もあの鍵の価値に気付いたかもしれえからな。急ぐぞ」

 ガラクタ売りのライバルであるクエンの鑑定眼もバカには出来ない。ロブは再び人波に紛れながらアカレッドを追い始め、ハテッサは再度深い溜息とともにロブを追って通りを歩き始めた。

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Posted on 23:51:40 «edit»

Category:紅の標

海賊戦隊ゴーカイジャー外伝『紅の標』 1章/Ⅳ 

1章/Ⅳ:オイズの街


 アカレッドが街に入ると、先ほどの砂漠とは打って変わった活気溢れる光景が飛び込んできた。
 石造りらしき家々の合間にテント張りの商店が立ち並び、往来を人波が流れている。先ほどのハテッサ達と同じような銀色の肌をした人々から、半獣半人のような者達もいれば、機械の体をした小さな子供まで多種多様な人々がそこにいる。

 彼らの姿形を除けば、地球で言うエジプト辺りの田舎街の風景に似た雰囲気だろうか。客を呼び込む声と人々の談笑がところどころで聞こえ、傍目には平和な街の姿そのものであった。
 そんな人波を避けるようにして歩くアカレッドではあったが、やはり目深に外套を被り、背にグッタリとした男を背負った格好は人々にも異様に映るらしく、背後からひそひそと訝しげな声色の話声と視線を感じて歩まねばならなかった。

「よお!そこの変なもん背負ってる兄さん!こっち見ていかねえか!」

 そんな雰囲気をまったく意に介さないような声がアカレッドを呼び止めた。商店の親父だった。小太り体型で丸みを帯びた銀色の顔をニヤリと歪ませた親父は自分の店先を指差して手招きをしている。

「私か」

「変なもん背負ってるのはあんたしかいねえだろ兄さん!」

 ガッハッハッハ!と下品な笑い声をあげた親父は商人らしいテンションの高さで一気にアカレッドの注目を惹きつけると、そのまま勢い任せに店先へと連れ込んだ。

「いいから見ていきなって!俺ぁクエンっていうここらじゃ有名な商人よ!うちは親切・信頼・安心で売ってるんだ、ここに揃えた品々も俺自身が出向いて見繕ってきたモンばっかりだぜ」

 クエンと名乗った男の店先には大小様々なものが陳列されていた。小さな花瓶のようなものから何かのエンジンらしきパーツまで、無差別、無軌道、無秩序に掻き集め、積み上げられたそれらは一言で言ってしまえばガラクタの山のようにしか見えない。これは何屋なのだろう。
 クエンはガラクタの山を崩して中から赤錆の浮いた長い棒を取り出してアカレッドに見せた。
 
「この剣なんてどうだい。物騒な世の中だ、護身用に一本持ってても損は無いぜ」

 思わず"剣だったのか"と言いたくなるほどに錆びたそれで何を護れと言うのか。野菜だって斬れそうもない。大体武器なら間に合っている。

「ならこのレーザーガンはどうだ。こいつならでっけえ岩のひとつやふたつ一発で粉微塵だ」

 小銃サイズのレーザーガン、エネルギーゲージはゼロを指している。この店にそのエネルギーパックが売ってる様子もなかった。これでは意味がない。

「分かった!武器が好みじゃないならこっちの非常食なんてどうだ!異星で仕入れたもんだがうまそうだぜ!」

 味の保障は無いらしい。取り出されたのは地球のカップラーメンに良く似た容器で、フタには"陽気なアコちゃん"と書かれている。

「……生憎だが、私は持ち合わせがないのでな」

 事実、この星でも使われている通貨『ザギン』を持ち合わせていないアカレッドにそれらを買う手段は無かったのだが、これを逃れるための方便と取ったクエンは逃がすまいと食い下がってきた。

「よし!じゃあとっておき!とっておきのを見せるよ兄さん!」

 高いテンションを維持したままのクエンは店の奥へと引っ込むと、大きな鉄の塊を引っ張り出してきた。バイクだ。随分と埃を被っているが、地球で使われているそれと良く似ていた。

「これだ!どうだい、すげえもんだろ!うちの店の自慢の一品でね、まだ誰にも売った事がないんだ!」

 それはただの不良在庫ではないのか。

「こいつはただのマシンじゃない!あの"宇宙暴走族ボーゾック"が悪ぶってた頃に花火にしちまった"ハザード星"で作られたモンだ。今じゃ貴重だぜえ?」

 クエンはどうだと口の端を吊り上げて不敵に笑ったが、今までの商品の事もある。まともな品とは思えない。

「ハザード星で作られたものならその動力源は"クルマジックパワー"か……動くのか?」

「え」

 え、ではない。そこに触れるつもりは無かった様子のクエンの顔でこれが売れ残っている理由も分かった。

「動かないのか」

「で……でもよ!こいつはすげえ骨董品だろ!?そこにあるだけで価値があるってえもんよ!コレクター魂を刺激するだろ!?」

「本物ならばな」

「うぐ……」

 苦い顔をしたクエンは押し黙ってしまった。これでは自身で出向いて見繕ったという話も怪しいものだ。

「ふむ……」

 何やら一考したアカレッドは、男を背負ったままの格好でバイクへと近づくと何かを取り出した。それは赤い"レンジャーキー"。激走戦隊カーレンジャーのレッドレーサーを模したキーだった。カシャッとそれを鍵状へと変形させると、バイクの鍵穴に差し込んでみた。

 途端、"レンジャーキー"から鈍い光が溢れ出した。光はキーからバイクへと液体のように移動してゆく。すると、先ほどまで物言わぬ鉄の塊であったバイクがエンジンの轟きとともに唸りを上げた。何年ぶりに息を吹き返したのだろうか、とても埃を被って放置されていたとは思えない軽快なエンジン音を鳴らすそれは、バイク自身の喜びの声のようにも思える。

「おおおおお!」

 歓声を上げたのはクエンだった。"まさか動くとは……!"などと呟いている。

「マシン自体は本物だったようだな」

 レッドレーサーのキーを引き抜いたアカレッドが言うと、クエンは目を丸くさせて「何やったんだあんた!?」と詰め寄ってきた。

「"クルマジックパワー"を流し込んだ」

「で、でもよ、それって確か"車型星座"とかいうのから貰える力なんだろ? あんたハザード星人の生き残りなのか!?」

「いや。だが、これにはそれが宿っている」

 アカレッドはクエンの眼前にレッドレーサーのキーを翳して見せた。

「もっとも、今の状態で出来るのはこの程度のクルマジックパワーを放出する事ぐらいだが」

「何なんだい、そのキーは……?」

「激走戦隊カーレンジャーの力が宿ったレンジャーキーだ」

「激走戦隊カ~~レンジャァ?」

 なんの事か分からないと言った様子のクエンをよそに、レッドレーサーのキーをしまったアカレッドは背におぶった男の体を背負い直しながら、クエンに「この男の事を知らないか」と尋ねた。

「え……あ、ああ。そいつ、この通りを行ったところにある酒場の店主だよ。でも、確かザンギャックに連行されたって――」

「そうか、ありがとう。助かった」

 クエンの言葉を遮る形で礼を言ったアカレッドは、そのまま踵を返して通りの向こうへと歩いて行った。取り残されたように佇んでいたクエンは、傍らでまだ唸りを上げ続けているハザード星製のバイクを見て呆然とするばかりだった。

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Posted on 23:45:44 «edit»

Category:紅の標

海賊戦隊ゴーカイジャー外伝『紅の標』 1章/Ⅲ 

1章/Ⅲ:オイズの街


 街の入口に【ホバークラフター】を乗りつけたロブ達に礼を言い、荷台に寝かせていた遭難者の男を背に背負ったアカレッドはそのまま街の繁華街へと向かって行った。この街でザンギャックに追放された人間を背負ったまま歩くなど正気の沙汰ではなかったが、ここから自分達とは関わり合いのない話だ。

「やっとお別れだあ。 あんなやつと一緒にいちゃあ、こっちまで面倒ごとに巻き込まれちまうよ」

 自分達の行動が招いた事とはいえ、ハテッサは肩の荷が降りたような気分だった。ザンギャックを敵に回して得な事などありはしない。無関係を決め込むのが一番だ。

「おい、行くぞ」

「そうそう、さっさと行こう……って、何処行くんだよロブ!?」

 気付けばロブは【ホバークラフター】のエンジンを止めて運転席を抜け出していた。

「追うんだよ」

「追うって……あの赤い奴をか!?」

「ああ」

 正気の沙汰でないのは相棒も一緒だった。突然の心変わりに動揺したハテッサだったが、有無を言わさず歩き出してしまったロブを追って仕方なく……本当に仕方なく、深い溜息とともにその背中を追った。



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Posted on 23:53:21 «edit»

Category:紅の標

海賊戦隊ゴーカイジャー外伝『紅の標』 1章/Ⅱ 


1章/Ⅱ


 太陽がもしも無かったとしたら。
 太陽と呼ばれる恒星を中心としてひとつの体系を成す星々は降り注ぐ熱を失い、たちまちに凍りつくだろう。命を育むための光、大気、水、自然は連鎖的にそのバランスの均衡を崩す。それは星の終わりと言ってもいい。
そのような世界で人が生きていくことは出来ない。
太陽はまさに命の星なのだ。

 だが、今この惑星エイトの頭上に輝く太陽は、少し事情が違っていた。

『二重恒星太陽』……俗にそう呼ばれるこの太陽系の中心に存在するふたつの輝き。

だがその見かけや俗称とは裏腹に、この恒星は双子星という訳ではない。片方の天体は恒星自体が熱を発し、水素、ヘリウム、酸素、炭素、窒素、ケイ素……その組成物もまさに太陽のそれで出来ている。
しかし、この太陽に寄り添うようにして輝くもうひとつの光……それは星ではなく、"空間歪み"から溢れ出る膨大なエネルギーの吹き溜まりである。

 一説によればその発生は2万6千年以上前、亜空間に発生した"魔空空間"なるものを安定させるために放出されるエネルギーが空間を歪ませ、この太陽系に口を開けたのだという。その中には"魔空監獄"という異次元の牢獄が存在し、凶悪な犯罪者達が収監されているという噂も実しやかに囁かれている。

 つまりあの輝きは太陽などではなく、一種の"ホワイトホール"に分類されるものだ。しかし吐き出されるエネルギーは太陽のそれと違わぬ熱量を有しており、恒星と同等の質量も観測される、"擬似太陽"とでもいうべき状態で遥か以前からそこに鎮座し続けている。

 この星達もまた、昔からこの銀河の星達の命を育むための光を発してきた。どのような成り立ちであろうとも、この太陽系はこうして均整を保ってきた……そのはずだった。


 それが、どこでおかしくなってしまったのか……。



 砂に埋もれた大地に視線を落として、物思いに耽っていた男の足元をホバーエンジンの震動が揺さぶったのはその時だった。砂の上を這いずる生き物のように砂漠を突っ走る黄土色の車体――【ホバークラフター】と呼ばれるマシンが傾斜のきつい砂丘をひとつ乗り越えたらしい。
 【ホバークラフター】の荷台部分に座り込み、砂まみれの外套を着込み直して男は沈黙していた。
 運転席には銀色の肌をした男が二人……先ほどの出来事を遠巻きから見ていた連中が座り、荷台には砂漠で倒れていた遭難者の男も乗せられている。

「す、すまねえな兄さん、そんな荷台に乗せちゃって」

 銀色の肌の男が――甲高い声をした方は『ハテッサ』と名乗った――助手席から振り返って困ったような笑いを浮かべた。先ほどまでとは打って変わったその態度から、あのザンギャックを一人で片付けてしまった男に対しての恐れが窺い知れる。それは運転席に座るもう一人も――こちらは『ロブ』というらしい――同じようで、引きつった笑いを浮かべて車のハンドルによく似た操縦管を握り締めていた。

「いや、街まで送ってもらえるんだ。贅沢は言わないさ」

 目深に被った外套の奥から聞こえた声色は穏やかなもので、ハテッサとロブは内心で息をつく。あんな光景を見せられた直後に街までの案内を頼まれては断れようはずもない。遭難者を荷台に乗せるのも二人は手伝った。人助けは馬鹿のやる事などと言える余裕はなく、辺りに転がったザンギャック兵士達の残骸に背筋を寒くしながら男の頼みを聞いて車を発進させたまでだ。

「まったく、えらいのに絡んじまったなあ……」

「さっさと街まで行って降ろしちまおうぜ……」

 運転席の二人だけが聴こえる小声で囁きあったハテッサとロブは、自分達の取った軽率な行動をひどく後悔していた。こんなところをザンギャックに見られでもしたら、それこそ自分達にまで火の粉が降りかかる事になる。そうなってからでは遅いのだ。奴らに眼をつけられては、この星で生きては行けない。

「それに……ロブも見たよな?あいつのあの赤い体、最近この辺りの星で賞金首相手に暴れまわってるって噂の赤い奴って……」

「ごちゃごちゃ言うなって……!これ以上巻き込まれてえのかよ」

 ロブが溜息混じりにアクセルを踏み込んでホバークラスターのスピード上げると、吹き散らされた砂が車体の後方へと弾け飛んでゆく。頬を打つ風は力強くなったが、行く手は延々と続く砂の大地であり、進んでいるという実感に乏しい。エンジンの唸りだけが聞こえる沈黙の中で、ハテッサは居心地が悪そうに身を捩っていた。

「過酷な環境だな」

 矢先に荷台から聞こえてきた声でハテッサはビクンと身震いした。外套の男が砂漠を見つめながら呟いていた。

「……ま、まあね。この星の大地はほとんどこんな状況でさあ」

 無視を決め込むのも恐ろしかったので相槌を打つ。運転席でロブが"バカ野郎"とでも言いたそうに苦い顔をしていたが、もう遅かった。

「枯れた大地……あのふたつ並んだ太陽のせいか」

 外套の男が真上に視線をやる。突き抜けるような空の蒼の向こうから、その身を寄り添うようにして並ぶ太陽が"二つ"……本物の太陽と、渦巻くエネルギーの塊が並んでこちらを見下ろしていた。

「えーっと……干上がっちまったのは確かにそのせいなんだけど、原因は別にあって、そのぉ……」

 煮え切られない口ぶりのハテッサは、ちらちらと傍らのロブへと助けを求めるような視線を送る。ロブとしては俺に振るな!と怒鳴りたくなったが、ここで男の機嫌を損ねても得は無い。再度の溜息とともに憤りも吐き出し、やれやれとハテッサの代わりにその口を開いた。

「……この星も最初っからこんな干からびた星だった訳じゃない。森もあれば川もあったさ。動物だっていっぱいいた。だが、つい一年ほど前にザンギャックの実験場に選ばれちまってね。科学者が妙な爆弾を使いやがった」

「これもザンギャックの仕業か……」

「ああ。人体には危害を加えず、星の環境だけを変化させる戦略兵器の実験だったそうだ。大したもんだったよ、森も川も全部瞬く間に砂に変わっちまった。自然を失った動物達はあっという間に死んじまったよ。残ったのは人間だけだ」

 その言葉で男はハッとなった。今、ホバークラフターが走るこの砂漠の砂……これはただの砂ではない。

「この砂漠は、この星の"自然"と呼ばれていたものの粕で出来てんのさ」

 乾いた笑いが混ざったロブの言葉に、外套の男はギリッと拳を握った。星ひとつの自然を――それも多くの人々が住まう場所で、何という事を……!

「その爆弾は成層圏の高濃度オゾン帯までボロボロにしてくれてやがった。おかげであの二重恒星太陽に晒された地表は雑草ひとつ生える事もない……それが今の惑星エイトって訳だ」

 この星も、つい一年ほど前までは"地球"と変わらぬ自然豊かな星だったのかもしれない。だが、今はそれを幻視する事すら叶わない。面影はすべて消え去り、熱砂となって星を覆い尽くしている。

「キミ達は、自分の星をこんなふうにしてしまったザンギャックに対して何とも思わないのか」

 こんな暴虐が許されていいはずがない……外套の男は内心怒りに震えて彼らに尋ねたが、対称的に二人はどこか既に諦観めいたものを表情に宿していた。

「そりゃあ俺達だってあいつらは好きじゃないんだけどね……」

「今更嘆いたって仕方ねえのさ。この星はザンギャックの占領下だ。奴らに逆らえば死ぬ。なら逆らわない。それが生きるために必要な事なんだ、この星じゃあな」

 諦め。
 強大な力によって怒りさえも抑え付けられてしまった。
 これがザンギャックの侵略というものだ。今まで見てきたザンギャック占領下の星々でも、同じような表情をした人々がいた。敵わないのなら従うしかない……力による支配というのは原始的でありながら強力であり、拮抗出来る力が存在しなければ不変とも言える強固さを持っている。力を持たぬものは、ただ支配されるがままになるしかないのだ。
 今、この宇宙に広がっているこの恐怖支配を食い止めねばならない。そのためには――。

「あー……そういや兄さん、名前は? こんな星に何しに来たんだい?」

 重くなった場の雰囲気に耐えかねたのか、ハテッサは話題を変えようと外套の男に尋ねた。そういえばこちらからは名乗っていなかったなと気付くと、男は外套のフード部分を取ってその素顔を再び晒した。
 その肌は赤く、人間のそれではなかった。両眼は大きなゴーグルに覆われ、その下から力強く結ばれた口元が覗く。額の金縁のVラインが太陽光を反射して煌いた。

「私の名はアカレッド」

 男は、そう名乗った。 

『アカ、レッド……?』

 男が名乗った名を、ハテッサとロブが口を揃えて反芻した。
 アカレッド――赤でレッドなんて、同じ事を二回言ってるじゃないかと率直な感想が口をついて出そうになったが、そんなツッコミを入れる勇気はなかった。
 あまりにも見たままの名前に呆気に取られた二人を差し置いて、アカレッドは続ける。

「この星へは、人を探しにきた」

「人探し、ね……」

 誰を尋ねて来たのかは知らないが、こんな辺鄙な星まで来るとはご苦労なこったとロブが内心毒づいた矢先、【ホバークラフター】の行く手に街が見えてきた。この星に残る数少ない都市……というにはみすぼらしい、砂漠にポツンと佇むオアシスのような小さな街だった。

「あそこにいるといいけどな」
 
「ザイークという技術者だ」

「技術者?」

 この星に、わざわざ遠方から誰かが訪ねてくるような技術者がいただろうか。今のエイトには今日を生きるだけが精一杯の名も無い連中がいるだけで、よその星から頼ってくる者がいるとは意外な話だった。

「こいつを使えるようにしてくれる人物だ」

 言ってアカレッドが取り出したのは人を模した小さな人形だった。いや、一見すればそれは人形に見えたのだが、腰の部分で二つ折りに変形する機構が設けられている。

「それは?」

「"レンジャーキー"という」

 アカレッドの指先でカシャッと音を立てて形を変えた"レンジャーキー"は、その名の通り鍵の形となった。それが何処の鍵を開けるためのものなのかロブ達は分からなかったが、ザンギャックの連中に喧嘩を売ってまでここに来た男が持っている物だ、それがただの鍵でもおもちゃでも無い事だけは察しがつく。

 だから、先ほど失敗したばかりだというのに、ロブは持ち前の好奇心が首を擡げ始めて尋ねてしまった。「価値のあるもんなのか?」と。

「価値……か。そうだな、あるとするなら」

 アカレッドはその手に握る赤色のレンジャーキー……アカレンジャーのキーを見つめながら――

「戦士達の戦いの歴史と」

 ――今は遠い、銀河の彼方にある蒼い星の姿を思い返しながら―― 
 
「明日という扉を開くための、大いなる鍵だ」

 ――そう告げた。

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Posted on 23:35:09 «edit»

Category:紅の標

海賊戦隊ゴーカイジャー外伝『紅の標』 1章/Ⅰ 

1章/Ⅰ

 星が光を放つ光景を、よく覚えている。
 あの日、眼下に見下ろした蒼い星から星屑のような光が流れ出し、宇宙の方々へと散り散りになって、果ての知れぬ深遠の闇の彼方へ飲み込まれていった。

 光はどこへ行ったのだろうか。どこかの星に落ちたか、次元の狭間に陥ったか。
 どうなったのかは分からない。

 だが、どこへ行こうと探し出さなくてはならない。
 すべての光を取り戻し、来るべき時に備えなくてはならない。
 
 脳裏に焼きついたその光景の中で、ひとつひとつの光は小さな輝きだった。
 だが、それらがひとつに集った時の輝きは、太陽にも勝る。それらはまさしく、"地球"という星の未来を照らし出す太陽だったのだから――。

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